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Fri.

“Deep Love”批判とカフカ「アメリカ」

昨日の深夜、いま一部で話題になってるとかいう「百万人が泣いた!」ネット小説“Deep Love”とやらを探し当てて読んでみた。
通読した上での感想をいうと、・・・個人的にはぜんぜんお薦めしません。(笑)
たぶん小説なんかろくに読んだことないイマドキの少年少女に受けてるんだろうけど、作者自身が最初からそのへんを狙ってたってのが露骨に見え透いててキツかった。
もちろん人間関係の希薄化とか、記号化っていったことがいわれてる中で、あの程度の商業小説でも読んで感じるものがあればいいじゃないか、という意見もあるかもしれない。
でも、僕はごめんだ。

記号化した人間関係を救い出すための、愛とか思いやりとか人とのつながり、っていったことまでが、この小説の中では完全に記号化されているから。
こう来れば泣けるだろう、こう来れば心配になるだろう、こう来れば共感できるだろう。
そんな図式にそのまま乗っかって、それで100万人が泣いたなんていってみたって、そんなところに救いはない。
シナリオの骨と皮だけの、いわば「あらすじ本」みたいな“小説”に、安易に予定調和的に感動することが、果たして本当に人間の回復といえるのか。
あんなものを正気でもてはやさないでほしい。
そんなことじゃ、必死で生きてる人間が救われない。


小説といえば、今はカフカの“アメリカ”というあまり知られてない長編を読んでるところです。
なんだか小説ばかり読んでるようだけど、実際はそうでもないので気にしない。
いわゆるカフカ的な魔術的雰囲気とはまったく無縁の、正統派の小説。
僕自身はもっと有名どころの、カフカ的なカフカ小説が好きな人間だけど、意外に面白く読めてるんでびっくりしてる。
ただ、翻訳が悪すぎです。
角川文庫版の、中井正文とかいう人の翻訳なんだけど、これが実にひどい。
あまりの劣悪な仕事ぶりに腹が立ってきて、珍しく後書きを読んでみたところ、「平易に」訳するように心がけたとか書いてる。

まあ確かに、じっさい文体は平易っぽいから、本人としてはそこそこ真剣に取り組んだつもりなのかもしれない。
でもそうだとすれば、この中井さんの日本語力は貧相というほかない。
元の作品のよさと、それからかろうじての「平易さ」に救われて、案外すらすらと読んではいるものの、この人の翻訳したものはもう読みたくないな。(笑)
皆さんも気をつけて。
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